ADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。
先日、ADHD漫画家の“あーさ”さんの講演・座談会、親睦会に参加させていただきました。
あーささんは、ADHD(注意欠如多動症/注意欠陥多動性障害)当事者としてエッセイ漫画を2冊出版され、全国各地での講演・NHKの発達障害プロジェクト番組への出演など、とても活躍されています。
講演・座談会の雰囲気や、印象に残ったこと、感想などを紹介します。
第15回パステル-会場の倉敷美観地区・倉敷物語館
私が日ごろお世話になっている、岡山県のADHD当事者会『パステル』のイベント企画であーささんの講演・座談会、親睦会が行われました。
~開催概要~
〇日時 6月17日(日)13時~16時
〇場所 倉敷物語館
〇講師 あーささん(愛媛県内の発達支援センターの相談員)
〇参加費 お一人2500円
〇日程
13:00~15:00 あーささんの講演、座談会
15:00~16:00 書籍の販売、質疑応答
※終了後、近くの会場で懇親会を予定
倉敷駅から歩いてすぐ、倉敷美観地区に到着。天領時代の町並みをよく残している町並保存地区です。
倉敷川沿いの柳並木が青々としていて、歩いているだけで心が安らぎます。会場の「倉敷物語館」は美観地区の入り口近くにあります。
何度も訪れた場所なのに、また道に迷ってしまいました。観光地なので、現地の人に声をかけるとすぐに教えていただけます。
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ADHD漫画家“あーさ”さんの講演会
倉敷物語館に入ると、会場の和室から明るい声が聞こえてきました。和室に入ると、すでに“あーさ”さんが到着されていました。とても綺麗で華のある方でした。
ADHD当事者会『パステル』でお話したことのある方や、過去の参加者で初めてお会いする方など続々集まりました。参加者は10人程度で、和室の部屋がいっぱいになりました。
今回は講演会だけでなく、あーささんを交えての座談会や親睦会が予定されていたため、まずは参加者の自己紹介から。名前(ハンドルネーム可)、参加したきっかけ、今日の会に期待すること、など話していきました。
ADHD・ADDの当事者だけではなく、ご家族の片や、ADHDに関心があって話を聞きに来られた方など様々。和やかな空気の中で講演会が始まりました。
あーささんの学生時代の苦労・ADHDと診断された時の“喜び”に共感
あーささんがADHDを診断される前の、学生時代のお話から聞かせていただきました。勉強が難しくなった高校時代から“脳が全く動かない”感覚になったそうです。
「どうして集中したいことに集中できないのか」「自分はやる気がないダメな奴だ」という思いから、自己肯定感が下がる日々。そんな中、大学時代に本で“ADHD”を知り、診断されたときの“喜び”の話が印象的でした。
- 「大学時代にADHDの本を読んで、「自分は他の人と違うな」と思っていたことが、文字ではっきりと書かれていた」
- 「自分の長年の悩みが分かって、涙が出るほど嬉しかった」
- 「やらなきゃいけないことができないのは、自分の努力不足のせいではなかった!」
出典:2018年6月17日「第15回パステル」講演会資料
あーささんの話を聞きながら(そうそう!診断された時はものすごく嬉しかった!)と心の中で叫びました。
私自身もあーささんと同じように、大人になるまでADHDだと気付かずに、学生生活についていけず、自信を失っていたことを思い出しました。
ADHDという概念を知った時の衝撃、診断されたときは心の底から嬉しくて、救われたような気持ちになりました。
周りから「発達障害を診断されたらショックじゃない?」と言われ、喜ぶのは変なのかな?と悩んだ時期もありました。あーささんも同じような経験をされていたと知り、自分だけじゃなかったんだ、と思えました。
あーささんがADHDを知ったきっかけの本
“出来ること”に目を向けて感謝をする
あーささんの講演会で、特に心に残った話があります。
ある日、あーささんが自宅で調べものをするために、本棚から本を手に取った時のことです。
「私が本を手に取ろうと思えば手を本へ伸ばしてつかむことができる。それはなぜか?
それは私の脳から指への運動神経が正常に働いているからだ」
「私の体は障害の部分より正常に働いている部分の方がはるかに多いんだ」
「それなのに私は、ほんの一部の神経回路の不具合ばかりを気にしてたんだなぁ」
「当り前じゃないことに気付くこと、それが感謝。これからは自分の体と脳に感謝しながら生きよう」
引用:あーさ 『ADHD脳で人生楽しんでます』,合同出版,2018年,pp.103-105
このお話を講演会で聞いた時、思わずハッとさせられました。
生活していると、つい“出来ないこと”ばかりに目を向けてしまいますが、確かにできることも沢山あります。
体が動くこと、文字が読めて書けること、好きな動画が観れること、毎日ご飯を食べて美味しいと思えること…
出来ることは当たり前過ぎて、多くの人はきっと失わないとその価値に気付けません。
しかし、あーささんはその価値に気付き、「自分の脳と体に感謝をして生きよう」と思うようになり、ADHDの試練から抜け出すことが出来たそうです。
あーささんを交えての参加者座談会
講演会の後は、休憩をはさんで参加者の10人ほどの座談会が行われました。あーささんが座談会のために持ってきてくださった道具が“ちょこっとチャット”というカードです。
ちょこっとチャットで盛り上がる
ちょこっとチャットは、コミュニケーションカードゲームです。ランダムにカードを引くと、質問やテーマが書いてあります。何種類かあり、今回使用したグリーンのカードは”就労している大人向け”の商品。
順番に質問のカードを引き、一人ひとりが答える…という流れでトークが行われました。
質問の内容は『失敗したときはどうしますか?』『好きな言葉は?』『生まれ変わるなら男か女?』『今までの成功体験は?』など。
相互理解が深められる質問なので、色々な考えが知れて面白かったです。私は緊張していたのですが、あーささんが自由に話せる空気を作って下さり、時折笑いが起こるなど楽しい座談会でした。
ちょこっとチャットは、今回使用したグリーン版も含め、ほとんどの種類は絶版になっています。現在発売されているのはパープル版(小学校高学年~中学生)向けのみで残念ですが、子供の発達障害におけるコミュニケーションゲームとしてお勧めです。
新書『ADHD脳で人生楽しんでます』を購入!サインをいただきました
あーささんが2018年に発売された新書『ADHD脳で人生楽しんでます!: 走って転んで、また走る』の発売会が行われました。
Amazonで購入しようと思っていたのですが、直接購入できる機会があったので、この日まで楽しみにしていました。Amazonより若干安い値段で販売していただき、サインも頂きました。
『ADHD脳で人生楽しんでます!: 走って転んで、また走る』はこんな本!
この本は、エッセイ漫画であーささんご自身の体験談を綴っています。講演会の中で話されていた“当事者の苦しさではなく、楽しさをテーマにした本”です。
漫画なので、文字が苦手な人や、子供でも読みやすいです。ギャグや思わず笑えるようなシーンもあり、純粋に面白いです。
そんな中にも、当事者としての気付きやハッとさせられるようなことが書いてあり、とても読みごたえがあります。
あーささんを交えた親睦会

まとめ
- 大阪の「発達障害 アートギャラリー カフェバー 金輝」
- 渋谷・表参道の「発達障害Bar The BRATs」
- 全国に系列店のあるイベントバー「エデン」での、ADHDや発達障害に関するイベント
あーささんは、本のイメージ通り明るくて気さくな方で、とても濃い時間が過ごせました。
関連リンク
あーさ 著『ADHD脳で人生楽しんでます!: 走って転んで、また走る』,合同出版,2018年
あーさ 著『めざせ!ポジティブADHD』,書肆侃侃房,2007年
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