ADHDの新しい治療?TMS(経頭蓋磁気刺激)のリスクと発達障害ビジネスについて

TMS治療

元看護師でADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。皆さんは、ADHDの新治療として研究が進んでいる経頭蓋磁気刺激(TMS)をご存知ですか?

2019年に東京に開院した発達障害専門クリニック「ブレインクリニック東京」では、国内で唯一、発達障害への治療としてTMSを行っており、一部で話題となっています。

発達障害に関しては、様々な治療法が広がっています。新しい治療が開発される一方で、高額な“発達障害ビジネス”も急増しています。

今回の記事では、経頭蓋磁気刺激(TMS)治療の効果や安全性について調べました。

TMS治療(経頭蓋磁気刺激)とは?

経頭蓋磁気刺激(TMS)治療とは、特殊なコイルを用いて脳の外側から大脳を局所的に刺激する治療法です。

TMS治療は、既に障害を負った脳組織を再び活性化させる治療ではなく、健常な大脳組織を刺激して機能代謝が活発に起きるようにする治療であり、脳の持つ回復力を最大限に引き出す治療です。
引用:“経頭蓋磁気刺激(TMS)治療”. 社会福祉法人 名古屋市総合リハビリテーション事業団. 2018-04-21.(参照 2019-4-7).

現在国内では、TMSは保険適応されておらず、自由診療または臨床研究としていくつかの病院で実地。主に脳卒中による後遺症や、うつ病の治療として行われています。

しかし、発達障害の治療としてTMSを実地している国内医療機関は、ブレインクリニック東京のみです。

アメリカでも、ADHDの治療としてTMS(経頭蓋磁気刺激)は認可されていない

2007年の世界保健機関の調査によると、米国での成人期ADHDの有病率は5.2%です。

2019年現在、米国・カナダ・オーストラリアなどでは、治療抵抗性うつ病(抗うつ剤が効かないうつ病)の治療として、TMSの保険適応が承認されています。日本では帝京大学医学部附属病院などで、治療抵抗性うつ病の治療としてTMSの臨床研究が行われています。
参照“治療抵抗性うつ病に対する経頭蓋磁気治療法(TMS)研究の参加者募集”. 帝京大学医学部精神神経科学講座. 2018-03-26. (参照 2019-4-7).

しかしこのTMS治療、医療先進国アメリカでも、ADHDの治療法としては認可されていません。(2019年4月現在)

現在、米食品医薬品局(FDA)は鬱病の治療手段としてTMSを認可しているが、ADHDへの適用は認めていない。
「私の知る限り、臨床効果を示すデータはない」とノースウェスタン大学のジョエル・ボス准教授(神経学)は言う。現時点でTMSをADHDの治療に使うのは「倫理に反する。費用もとてもかかる」とも。
引用キャサリン・エリソン. “ADHDに「倫理に反する。費用もかかる」救世主が現れた?”. Newsweek. 2019-03-25. (参照 2019-4-7).

アメリカでは研究が進められており、TMSによって症状が改善された症例もあります。しかし、まだ有効性が確立されておらず、リスクが伴います。



TMS(経頭蓋磁気刺激)治療の副作用・リスク

TMS治療に取り組んでいるブレインクリニック東京の公式記事「発達障害に対する最新のTMS治療がなぜ効果があるのか?」によると、「薬物治療のような副作用も報告されておらず、一生薬を飲み続けなければならないということもありません。」と書かれています。
参照坂 達典. “発達障害に対する最新のTMS治療がなぜ効果があるのか?”. ブレインクリニック東京. https://www.newsweekjapan.jp/stories/technology/2019/03/adhd-2.php, (参照 2019-4-7).

しかし数々の研究によると、わずかですが副作用も報告されています。

NIH(米国の国立衛生研究所)が2009年に出したガイドラインでも、けいれん・躁転・頭痛・頚部痛・不快感・聴覚閾値の上昇などが副作用として報告されています。

TMSで脳の特定部位の機能は改善しても、別の部位に悪影響が出るかもしれない。脳が未発達な子供の場合は特に心配だ。

治療効果が科学的に証明され、危険はないとする十分なデータが集まるまでは「子供にTMSを受けさせるべきではない」と、ボスは強く訴える。
引用キャサリン・エリソン. “ADHDに「倫理に反する。費用もかかる」救世主が現れた?”. Newsweek. 2019-03-25. (参照 2019-4-7).

ブレインクリニック東京のTMS治療の費用は30~60万?

TMS治療は保険が適応されないため、全額自己負担になります。料金は医療機関が自由に設定できます。

ブレインクリニック東京「発達障害に対する最新のTMS治療がなぜ効果があるのか?」には、「15-30回の治療で安定した治療効果を得ることが可能です。」と書かれています。

院長の川口佑先生が、かつて院長を務められていた新宿ストレスクリニックでは、TMS治療の1回の費用は30回で550,200円(税抜)。

同じ相場だと考えると、TMS治療の15回〜30回分の費用は税抜275,100円〜550,200円。税込だと30回で60万弱になります。

効果や安全性が確立されて、保険が適応される治療になると良いですね。

まとめ

TMS(経頭蓋磁気刺激)の発達障害に対する効果については、アメリカでも現在研究が進められている段階です。

効果が期待されている治療法ですが、まだ十分な科学的データーが集まっていません。

TMS治療は高額です。まずは第一選択として、保険が適応される薬物療法を受けるのがベストでしょう。

子どもから大人まで発達障害が一種のブームのように拡大している一方で、「発達障害ビジネス」と呼ばれる商法も急速に広がっています

「治療法」が科学的に立証されたものか、患者側も注意しなければなりません。

東京ブレインクリニックさんが取り組まれている新しい治療が、医学の発展に繋がることを望みます。

現段階でTMS治療を受ける場合は、メリット・デメリットをしっかりと理解した上で、自己責任で治療を受ける必要があります。

自由診療でTMS治療を受ける場合は高額ですが、一部の医療機関ではうつ病の臨床研究として無料で受けられることもあります。

興味のある方は、医療機関の情報や治験サイトをチェックしてみてください。

参照リンク・文献

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