ADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。この記事では、2015年から3年間の薬物治療を連載形式で振り返っていきます。
私は、2015年に大学病院でADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)を診断され、すぐにクリニックで薬による治療を開始。それからは、副作用に苦しんだり、効いているのか分からず不安になったり、薬に対する期待と失望を繰り返していました。
今は落ち着いていますが、薬を飲み始めてからの2年間は、毎日ストラテラとコンサータの副作用に振り回されていました。
この記事では、ADHD診断後に初めて“ストラテラカプセル”を飲んだ時のことを書いていきます。
目次
ADHD薬物療法開始-ストラテラカプセル40mgが処方される
大学病院でADHDの検査を受け、診断された私。数日後にかかりつけのメンタルクリニックに行きました。大学病院で貰った<心理検査報告書>を主治医に渡すと「高い数値ですね。」と言われました。
私はこの年、看護師として4月に就職したものの、ミスを繰り返して抑うつになり、6月下旬に休職。休職して1か月が経っていました。
不安と焦りで過ぎていく日々。そんな中、薬を飲むことは、私にとって希望でした。
主治医から「薬という選択肢がありますが…」と切り出されてすぐに「飲みたいです。」と、即答しました。
ストラテラしか処方の選択肢がない
医師が処方した薬は“ストラテラカプセル”という薬です。[1]“医薬品添付文書: 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(PDF)“. 日本イーライリリー株式会社. (参照 2019-06-02).
主治医
池田ラスカル
主治医
ストラテラの作用機序(はたらき)と飲み方
患者向けに発行された冊子「ストラテラを服用される方へ」のページを見せながら、「飲み方」「副作用」など説明を受けました。
- ADHDがなぜ起こるのかは依然として不明ですが、ノルアドレナリンとドパミンという脳内の神経伝達物質が何らかの役割を演じているという説があります。
- ストラテラは、前頭前野ではノルアドレナリンとドパミンの不足を改善して代謝をおさえ、神経伝達物質を増やします。
引用:『ストラテラを服用される方へ』(日本イーライリリー株式会社、2012年)p.6
「ADHDがなぜ起こるのかは依然として不明」という一文に、軽くショックを受けました。
「ストラテラの効果が出るのは2ヶ月後」
効果が安定するまでには2ヵ月くらいかかります。
主治医
そんな気持ちを医師に言うことも出来ず、ただただ説明に頷きました。
まずは第一段階。1日40mgからスタートして、徐々に増量していく治療計画です。
吐き気予防のため、夕食後に内服
主治医
池田ラスカル
副作用として立ち眩みや動悸が出ることがあります。2週間分処方しますが、具合が悪くなったらいつでも来てください。
主治医
会計で金額に驚く。ストラテラは薬価が高い!
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初めてストラテラを処方されたこの日、会計で支払いの金額に驚きました。ストラテラ40mgが2週間分追加になっただけで、金額が倍以上。今までは1回の診察・処方で2000円もかからなかったのが、今回は4000円を超えました。
それまでも抗うつ薬や睡眠導入剤など処方されていましたが、ストラテラカプセルは薬価が比べ物にならないくらい高額でした。
40mgのストラテラカプセル1個の薬価が、461.2円。3割負担でも138.3円です。安い後発薬(ジェネリック)もありません。もし1日80mg飲むことになったら、さらに負担が重くなります。
自立支援を申請するための、診断書代すら払えなかった
ストラテラの高額な支払いで現金はほとんどなくなりました。わずかに残ったお金で帰りの電車代を払って帰宅。『このままストラテラカプセルの治療を続けると、毎月の医療費は1万円を超えてしまう。』
途方に暮れました。
通院費を軽減するための「自立支援医療」という制度があります。定期的に精神科への通院が必要な患者は、自立支援医療の申請をして認可されることで、医療費の自己負担額が1割になります。
所得によって上限もあるため、高額なストラテラカプセルを飲んだとしても、低所得の場合は月2500円までしか払う必要がありません。私はこの制度を知っていたので、すぐに申請しようと思いました。
しかし、申請するためには医師の診断書が必要です。診断書の料金は医療機関によって3000円~5000円がかかります。この時休職中で無収入、貯金すら底をついていた私。自立支援医療を申請するための、数千円すら払えませんでした。[4]※現在は自立支援医療制度を受け、月々2500円までの自己負担で治療を受けています。”自立支援医療(精神通院医療)の概要”.厚生労働省 (参照 … Continue reading)
「ストラテラが効いてほしい」祈るような気持ちだった
診察から帰宅すると、すぐに夕食を食べ、処方されたばかりの薬をシートから取り出しました。薬や食品では見たことのないような、真っ青なカプセルの色に驚きました。
『この1カプセルが461円もするのか…』
不安や期待が入り混じった気持ちでした。この先治療が続けばお金がかかるだろうと思い、申し訳ない気持ちで母親にメール。仕送りをしてもらいました。
当時の私は休職中で、収入がありませんでした。お金がないことへの不安、この先どうやって生きていけばいいのか、恐怖に近い気持ちがありました。将来の見通しもなく、生きることに自信を失っていました。
今考えると、この頃が人生で一番苦しい時期でした。薬が効くことへの期待よりも、「もしこの薬が効かなかったらどうしよう」と恐怖に近い気持ちでした。
ストラテラが効くことに人生かけるしかない状態
— 池田ラスカル❄️ADHDブログ運営者 (@rasukarurun) August 18, 2015
この薬が効いてほしい、ADHDの症状が半分でも楽になってほしい。
看護師に戻れなくてもいいから、普通に働いて生活できるようになりたい……。
そんなことを考えながら、祈るように最初のカプセルを飲んだことを今でも覚えています。
この記事は【ADHD薬物療法体験談②】ストラテラ40mgを1週間飲んだ感想-徐々にあらわれる副作用 へ続きます。
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References
↑1 | “医薬品添付文書: 選択的ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(PDF)“. 日本イーライリリー株式会社. (参照 2019-06-02). |
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↑2 | 2015年の状況。2017年3月にインチュニブが新たに認可された。 |
↑3 | ”ヤンセンファーマ(株)提出資料コンサータの流通管理について”(PDF). 流通適正管理策(案)参考資料 (参照 2019-06-02). |
↑4 | ※現在は自立支援医療制度を受け、月々2500円までの自己負担で治療を受けています。”自立支援医療(精神通院医療)の概要”.厚生労働省 (参照 2019-06-02 |