ADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。この記事は、大人になってからADHD(注意欠如多動性障害/注意欠陥多動性障害)を診断された私が、3年間の薬物治療を連載記事で振り返っています。
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コンサータ18mgが2倍に増量される
転院先のクリニックでコンサータ18mgを処方されるも、効果を感じたのは最初の1週間だけ。副作用の眠気に襲われ、治したい不注意症状は酷くなっていました。
期待していた効果を得られなかった失望感を感じながら、3回目の診察を迎えました。
医師
池田ラスカル
薬を増量してほしい!と願っていた私。どう答えたら薬を増やしてもらえるのか考えながら、慎重に答えました。主治医はコンサータの処方に慣れていないようで、パソコンで薬剤の製品情報を調べ始めました。
医師
こうして、朝のコンサータ錠が36mgに倍増しました。
処方変更前
朝食後:コンサータ錠18mg 1錠
夕食後:ストラテラカプセル40mg 1カプセル
処方変更後
朝食後:コンサータ錠18mg 2錠
夕食後:ストラテラカプセル40mg 1カプセル
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動悸、吐き気……立っていられないほどの副作用
診察の翌朝、期待を込めてコンサータ18mgを2錠(合計36mg)飲みました。18mgを飲んでいた時は、眠気以外に副作用はなかったので、倍に増えたことに不安はありませんでした。
しかしこの日から、予想以上に強い副作用に苦しめられることになります。
コンサータを36mg服用して30分経つと、心臓の鼓動がどんどん早くなり、胸が掴まれるような苦しさを感じました。異常なほどの動悸、口の渇き、そして吐き気…。
食欲は全くなく、昼食も夕食も食べれず、ずっと部屋で横になっていました。苦しさで眠ることもできず、目を閉じたまま、胸の鼓動を感じていました。副作用が強すぎて、効果があるのかどうかすら分かりません。
この頃の私は、派遣社員の仕事が決まり、就業開始日まで自宅待機をしていました。新しい仕事が始まるのは1週間後、それまでに何とか副作用が落ち着いてほしい…。そう願いながら、長い一日を過ごしました。
治まらないコンサータ36mgの副作用
コンサータ錠が36mgに内服して4日目。副作用はやや治まったように感じました。
――あの強い副作用は最初だけだったんだ……
安心した私は、新しい仕事が始まるまでの日々を穏やかに過ごしていました。そして1週間が立ち、初出勤の前日になりました。この日もいつものように、朝起きて朝食を食べ、コンサータ36mgを内服しました。
しかし内服して30分ほど経つと、初日の時のような激しい動悸に襲われました。
――数日は落ち着いていたのに、なぜまた副作用が出てきたのだろう……
部屋の中で立つこともできず、体を横にしたまま。治まらない副作用を全身で感じていました。とても長い一日でした。
コンサータ36mg内服後13時間経ち、ようやく食欲が戻る
まったく食欲ないけど何も食べてないからおうどん食べる。少したちあがって動いたら立ちくらみ、動悸、息切れがして、今日ずっと動いてない。明日の初出勤のストレスとかじゃなくて間違いなく副作用。明日コンサータ抜いて出勤する自信ない。
— 池田ラスカル❄️ADHDブロガー (@rasukarurun) November 15, 2015
コンサータ錠を内服し、副作用に耐えながら夜を迎えました。13時間ほど経過して21時頃になり、ようやく副作用が少しずつ治まりました。
この日は朝食を食べてから、何も口にしていませんでした。副作用が切れ、口の渇きも軽減し、ようやく空腹感を感じました。卵を使った雑炊を作り、お茶碗半分ほど食べました。『医薬品添付文書|コンサータ』によると、副作用として31.2%の確率で食欲減退があらわれるようです。
翌日は新しい仕事の初出勤。明日の朝、薬を飲むべきか辞めるべきか。強い副作用に耐えられるのか。ただでさえ新しい仕事への不安でいっぱいなのに、さらに不安が増していきました。
当時の私は、日雇いのアルバイトで一人暮らしの生活。お金はなく、クレジットカードでリボ払いをして、返済を先延ばしにしていました。
何とかして次の仕事を長く続け、リボ払いの返済をしなければならない……。そんなプレッシャーもあり、泣きたくなるような気持ちを抑えて睡眠薬を飲み、何とか眠りにつきました。
新しい仕事の初出勤日
初出勤日の朝。前日のコンサータの副作用が苦しかったため、朝の薬を飲もうか迷いました。しかし、急に休薬すれば反動で離脱症状が起こる可能性もあるため、飲むことを決心しました。
――何とか副作用が治まって欲しい。無事に1日を乗り切りたい。
祈るような思いで薬を飲みました。
過度の緊張、手の震え……コンサータの副作用に耐えながらの仕事
新しい仕事は、派遣社員としてコールセンターの受信業務を行う仕事でした。まずは朝礼があり、広いオフィスで80人ほどいるスタッフの前で自己紹介をしました。
元々社会不安障害がある私ですが、コンサータの副作用で自律神経が活発になり、ますます不安や緊張が高まりました。『医薬品添付文書|コンサータ』によると、コンサータ錠( メチルフェニデート塩酸塩)は中枢神経刺激作用があるため、元々不安や緊張が強い人は、その症状が悪化することがあります。
顔は引きつり、マイクを持つ手が震えながら、何とか自己紹介を終えました。
最初の1ヵ月は座学による研修のみ。この日も1日座って講義を聞きました。一緒に入社した6名程度の派遣社員と一緒に、教育担当の社員から会社の概要やコンプライアンスについての説明を受けました。
副作用は前日ほど強くはありませんでしたが、常に口の渇きや動悸を体に感じていました。一言も話さなくても、すぐに口がカラカラになり、500mlペットボトルの水を午前中に飲み干しました。時折指先の震えもありました。
昼食は食堂でラーメンを注文しましたが、全く食欲がなく、半分以上残しました。この日は座って話を聞くだけということもあり、何とかやり過ごしました。
限界までコンサータ36mgを試したかった
この先耐えられるのか不安でしたが、とにかく1日1日を乗り切るしかないと思いました。
――この先飲み続けたら、体が慣れて副作用が治まるかもしれない。
そんな期待もあり、コンサータ36mgをしばらく飲み続けることを決めました。18mgで効果を感じなかった私にとっては、薬を減らしても以前のように不注意が目立ち、まともに働くことが出来ないと思っていました。
“コンサータ36mgの効果にかけるしかない”
誰にも相談できないまま、自分の中でそう決心しました。研修が終わる1ヵ月後までには、副作用が治まることを願っていました。
この記事は「【ADHD薬物療法体験談⑧】(現在執筆中)」に続きます。
参照リンク
- ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)製品情報|Lillymedical.jp
- コンサータ18mg 患者向医薬品ガイド(PDF)
- コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)|医薬品添付文書情報| KEGG データベース
- コンサータ錠 流通適正管理 事務局
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