ADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。この記事は、大人になってからADHD(注意欠如多動性障害/注意欠陥多動性障害)を診断された私が、3年間の薬物治療を振り返っています。
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ようやく手に入れたコンサータ錠18mgの効果
ADHDを診断されるも、ストラテラカプセルでの薬物療法は十分な効果が得られなかった私。中枢神経刺激薬であるコンサータ錠の治療を試すために、転院をしました。
そして転院先のクリニックで、コンサータ錠18mgによる治療が開始。ストラテラカプセルは徐々に減量していくことになりました。
転院前の処方
朝食後:ストラテラカプセル 40mg
夕食後:ストラテラカプセル 40mg
転院後の処方
朝食後:ストラテラカプセル 20mg,コンサータ錠 18mg
夕食後:ストラテラカプセル40mg
その他、頓服の抗不安薬・睡眠導入剤・抗うつ薬も転院前と変わらず処方されました。
待望していたコンサータ錠を手に入れ、翌日の朝を迎えました。体にどんな変化が起こるのか、ドキドキしながら薬のシートから錠剤を取り出し、慎重に飲み込みました。
コンサータ錠はストラテラカプセルとは異なり、即効性のある薬。コンサータ錠の有効成分であるメチルフェニデートには、脳内の神経伝達物質を増加させる作用があり、中枢神経刺激薬の一種です。
アメリカなどの海外では広く流通していますが、2015年当時の日本では認可されたばかり。コンサータ錠を飲んでいるADHDの患者は少なく、医師も処方に慣れていない様子でした。
『30分程度で効果があらわれる。朝食後に服用すると、約12時間効果が持続する』と説明を受けていました。
その言葉通り、内服して30分すると少し変化があらわれました。
頭がすっきりする気がする
コンサータを内服して30分くらい経つと、頭がすっきりするような気分になりました。いつもより頭が冴えているような感覚。それは、私がコンサータに期待していた効果そのものでした。
コンサータ18mgを初めて飲んだこの日、バイトが休みだった私は一日中Twitterをしていました。これはコンサータの効果?それとも気のせいなのか?ずっと考えていました。
コンサータに期待しすぎたせいで、プラセボ効果によって薬が効いているように錯覚していただけかもしれません。
※プラセボ効果:薬を飲んだと思うだけで心理的作用が働き、効果を表すこと
しかし、それまでADHDの症状に苦しみ、ストラテラカプセルの治療がうまくいかなかった私は『コンサータが効くかもしれない!』という嬉しさで胸がいっぱいになりました。
―このままコンサータが効き続けてくれたら、普通に働けるようになるかもしれない…。
そんな気持ちで、一週間薬を飲み続けました。ストラテラカプセルを初めて飲んだ時ような副作用もなく、穏やかに過ごしました。
そして、一週間後の診察を迎えました。
朝の薬がコンサータのみに変更になる
医師
池田ラスカル
医師
この日の診察は、10分足らずで終わりました。医師に不安を抱く私。しかし、『ストラテラカプセルを徐々に減量して、コンサータのみに切り替える』という治療方針は、私の希望と同じだったので納得することに。
処方変更前
朝食後:ストラテラカプセル20mg,コンサータ錠18mg
夕食後:ストラテラカプセル40mg
処方変更後
朝食後:コンサータ錠18mg
夕食後:ストラテラカプセル40mg
コンサータの副作用?強い眠気に襲われる
コンサータ18mgを1週間内服し、順調に効いていると思っていた私。しかし、その期待はすぐに打ち砕かれました。
診察の3日後、いつものように倉庫へ日雇いのアルバイトに行った日のことです。その日は、化粧品のサンプルとチラシをひらすら封筒に入れる単純作業でした。
しかし、昼過ぎくらいから強い眠気に襲われました。退屈な作業とはいえ、これほどの眠気を感じるのは初めて。
“7時間以上寝たし、朝のコンサータも飲んだのに…どうしてこんなに眠いのだろう…”
頭がぼーっとして、眠気で立っているのもつらい状況で、何とか手を動かしました。あくびを噛み殺しながら、早く時間が過ぎるのを待っていました。
わずか1週間でコンサータ18mgが効かなくなった
覚醒効果のあるコンサータを飲んだはずなのに、なぜこんなに眠いのだろう…。ストラテラを減量した影響(離脱症状)かと考えましたが、減量してからの数日間は異常はありませんでした。
そしてコンサータ錠について調べた私は、副作用に“眠気”があることを知りました。
患者向医薬品ガイド(PDF)にも『めまい、眠気や視覚障害をおこす可能性がありますので、自動車の運転などの危険を伴う操作を行わないようにしてください。』と注意書きが書かれてあります。
この時の大きな失望感は今でも覚えています。
当時の私はお金も底をつき、生活環境はボロボロでした。ADHDの症状で看護師の仕事がうまくいかず、休職の末に退職をし、日雇いのアルバイトで食いつなぐ日々。
そんな中、ストラテラカプセルで薬物療法をはじめるもうまくいきませんでした。
残されたもう一つの選択肢である“コンサータ”を飲むしかないと思い、クリニックを転院。最初の1週間はコンサータ錠に効果を感じていました。そして、ちょうど派遣社員の仕事も決まっていた時期でした。
心機一転して新しい仕事を頑張ろう!と思っていた矢先、わずか1週間でコンサータの効果を感じられなくなり、“日中の強い眠気”という副作用があわられたのです。
不注意・注意欠陥症状を何とか改善したいと思って飲み始めたのに、眠気のせいでますます不注意は悪化。もうどうしようもないのかと、敗北感のような気持ちを抱きました。やりきれない思いをぶつける先も、相談できる相手もいませんでした。
しかし、治療をやめるという選択肢はありませんでした。何とかしてADHDの症状を抑えなければ、社会で生きていくことができないと感じていました。
“コンサータを増量するしかない”
そう決意し、一週間後の診察を迎えました。
この記事は「【ADHD薬物療法体験談⑦】コンサータが36mgに増量。副作用に苦しんだ話」に続きます。
続きの記事はこちら
【ADHD薬物治療体験談⑦】コンサータを36mgに増量。副作用に苦しんだ話
参照リンク
- ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)製品情報|Lillymedical.jp
- コンサータ18mg 患者向医薬品ガイド(PDF)
- コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)|医薬品添付文書情報| KEGG データベース
- コンサータ錠 流通適正管理 事務局
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