ADHDブロガーの池田ラスカル(@rasukarurun)です。この記事は、大人になってからADHD(注意欠如多動症/注意欠陥多動性障害)を診断された私が、3年間の薬物治療を振り返っています。
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今回は第四弾!ストラテラによる治療を開始して2ヵ月目の話です。“ストラテラは不注意には効かない”と感じ、コンサータを併用する治療を決意するまでの記録です。
3回目の診察-ストラテラ80mgの副作用が強いため、増量しなかった
ストラテラカプセルによる治療を開始して1ヵ月が経ちました。40mg/日を10日間、80mg/日を3週間飲み続け、3回目の診察日を迎えました。
主治医
池田ラスカル
ただ「副作用が強いので増量したくない」「治療はこのまま続けたい」という意思は伝えました。
主治医
1日トータル80mgのままで、しばらく治療を続けましょう。4週間分処方しますね。
朝と夜に分けて飲むという方法は、主治医が切り出さなければ自分から提案しようと思っていたので、ホッとしました。
そして、もう一つ主治医に話そうとしていた「障害者手帳の申請」について相談しました。
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精神障害者保健福祉手帳の申請の相談
池田ラスカル
主治医
池田ラスカル
主治医
池田ラスカル
主治医に強い意思を伝えました。この時の私は、看護師の職を辞め、一人暮らしをしながら日雇いのアルバイトでギリギリの生計を立てていました。貯金もなく、新しく始めた飲食店のホールのアルバイトでもミスばかり。
“手帳を持たない健常者”として社会で生きていく自信がなく、どうしても障害者手帳が必要だと感じていました。
障害者手帳申請のための診断書を書いてもらう
「どうしても手帳が必要」という気持ちを伝えて、主治医に診断書を書いてもらいました。
通常は、精神障害者保健福祉手帳の申請をするためには、初診日から6か月以上が経過している必要があります。私は、ADHD(注意欠如多動性障害)を診断されてから2ヵ月しか経っていませんでした。しかし、精神科での通院自体は6か月以上前から続けていたため、申請することが出来ました。
診断書代は3000円ほどかかりました。この時知ったのですが、障害者手帳と自立支援医療を同時に申請する場合は、診断書が1枚で済むため、書類代が安くなるそうです。(※自治体により異なります)
私は、先月に自立支援医療の申請を終えたばかり。同時に申請していたら安くなったのですが、損をしてしまいました。
ストラテラ80mgを内服して2ヵ月目
早朝覚醒の副作用は軽減するも、口渇に苦しめられる
ストラテラカプセルを80mgに増量して、2ヵ月目に入りました。夜に2カプセル(40mg×2)を飲んでいたときは、早朝覚醒の副作用があったのですが、朝と夜に1カプセル(40mg)ずつ分けて飲むことで改善されました。
また、薬が体に慣れてきたのか、ふらつきや吐き気などの副作用も、やや軽減されました。しかし、発汗や手の震え、のどの渇き、食欲低下の副作用は続いていました。飲食店の接客のアルバイトを始めましたが、ただで精神的に辛いのに、副作用で体調不良を抱えながら働いていました。
特に口渇(口の渇き)が酷く、こまめに水分をとってもすぐに口が乾燥してしまいます。飲食店のアルバイト中も口の渇きが我慢できず、トイレの洗面所で何度もうがいをしたり、薬用マウススプレーを常に携帯していました。
楽になるために薬を飲み始めたのに、薬そのものが悩みになっていました。それでも、ADHDの症状を抑えるためには薬を飲み続けるしかないと、自分に言い聞かせていました。
「ストラテラは不注意には効いてない」と感じた出来事
https://www.pakutaso.com/20160546151post-7989.html
ストラテラ80mgを内服するようになり2ヵ月目。当初から感じていた“不注意には効いていないのでは?”という思いが、確信に変わった出来事がありました。
障害者手帳の手続きのため、保健センターに行き、帰りのバスに乗った時のことです。バスに乗った私は(降車ボタンを押し忘れないようにしなきゃ…)という不安で頭がいっぱいでした。田舎のバスは乗車人数が少ないため、自分が降車ボタンを押さなければ、バス停で留まらずにスルーされてしまいます。
常に窓の外を気にして、自分が降りるバス停が近づくと、早めに降車ボタンを押しました。しかし、降車ボタンを押せたことに安心をして、気が付けば頭の中で違うことを考えていました。そうなると周りが見えなくなり、時間も忘れてしまいます。
そして、降りるはずだったバス停で留まったことにも気付かず、ドアが閉まる音でハッと気付きました。気付いた時には、バスすでに出発していました。わずか数分考え事をしていただけで、バスを降り過ごしてしまったのです。
仕方なく次のバス停で降り、少し遠い距離を歩きました。情けないですが、あまりのショックで泣きながら歩きました。こんなことで泣くなんて子供じみているかもしれませんが、自分の不注意が情けなかったのです。バスに乗って、目的地点で降りることすらできない。そんな自分の特性に、改めてショックを受けました。
そして、副作用で苦しい思いをしてまでストラテラを飲んでいるのに、不注意がまるで治まらないことに失望しました。
もう一つのADHD治療薬“コンサータ”を試すことを決意する
当時は、国内で認可されているADHD治療薬は「ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)」と「コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)」の2種類のみでした。
※2018年現在は、「インチュニブ(グアンファシン徐放錠)も認可されています。
「コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)」はストラテラとは違い、脳により直接的に作用して、ドパミン(神経伝達物質)を放出させる作用があることが特徴です。メチルフェニデートは脳の中枢神経を活性化させる作用があるため、中枢神経刺激薬に分類されています。
非中枢刺激薬のストラテラよりも取り扱いが厳重で、コンサータ錠適正流通管理委員会で認められた医師・薬局でなければ処方が出来ません。コンサータを飲むことにより、ストラテラでは得られなかった効果が得られるのではないか?と期待したのです。
ストラテラを飲んでも不注意が治まらず、もう一つの薬であるコンサータしか選択肢がないと思うようになりました。
完全にADHDが治らなくても良い、医療職に戻れなくても良い、せめて普通に生活できるようになりたい。そのためには、少しでも不注意症状を抑えたかったのです。そして、ストラテラ80mgでの治療に2ヵ月で見切りをつけて、コンサータを飲むことを決意しました。
この記事は「【ADHD薬物療法体験談⑤】コンサータを処方してもらうために転院した話」に続きます。

参照リンク
- ストラテラカプセル40mg|くすりのしおり
- ストラテラ(アトモキセチン塩酸塩)製品情報|Lillymedical.jp
- コンサータ(メチルフェニデート塩酸塩)|医薬品添付文書情報| KEGG データベース
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