ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)の池田ラスカル(@rasukarurun)です。
最近、U-NEXTに無料お試し会員で登録しました。パソコンやスマホから、映画・海外ドラマ沢山観ています。特に、ADHDの登場人物が出てくる映画を探して観ていました。
その中でも、ADHDが作品のテーマとしてはっきり描かれ、最も強いインパクトが残ったのが「Mommy/マミー」です。
この名作を沢山の人に知って欲しい!と思ったので紹介します。
目次の「見どころ」には、ストーリーの核心にふれるネタバレがありますので、気を付けてください。
<目次>
Mommy/マミーのあらすじ
とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。
中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律である。
ダイアン・デュプレの運命は、この法律により、大きく左右されることになる。
カナダで「発達障がい児を放棄する権利」が保証されるという、衝撃的な設定から物語が始まります。
19歳で監督としてデビューした天才・グザヴィエ・ドラン監督の5作目です。2014年に制作され、日本では2015年4月に劇場で公開されました。カンヌ国際映画祭2014で審査員特別賞を受賞しています。
Mommy/マミーの登場人物
この映画は、主に3人の登場人物がキーとなっています。
ダイアン・デュプレ
ダイアンは夫と死別したシングルマザー。
多額の借金を抱えながら、翻訳家として生計を立てている。ADHDの息子、スティーヴは施設に入所していたが、放火事件を起こしたことで追い出される。
お金のないダイアンは、S-14法案により養育放棄することを勧められるが、反対を押し切って息子を引き取る。
喜怒哀楽の激しい生活で、息子のスティーヴと衝突する。
スティーヴ・デュプレ
ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)を持つ15歳の少年。
父親と死別し、問題を抱える子どもたちを集めた施設をたらい回しにされ、シングルマザーの母親と暮らす。繊細で母親思いの性格で、純粋な一面もある。
その一方で、スイッチが入ると自制心が効かなくなり、攻撃的な言動を繰り返していく。
カイラ
病気で休職中の高校教師。心に傷を抱え、吃音症に悩んでいる。夫や娘との会話もなく、引きこもりがちな生活をしている。
引っ越しを機にダイアンとスティーヴの隣人となる。家庭教師として2人と関わっていく中で、新たな希望を見つける。
ストーリーの見どころ(※ネタバレあり)
断ち切れない母と子の絆
施設を追い出されて母親と暮らすようになったスティーヴ。純粋な少年で、母親の愛を強く求めています。しかし、母親のためにネックレスを万引きをしたり、万引きを咎めた母親を殴ったり、攻撃的な言動を繰り返します。
母親はそんなスティーブンに手を焼き、精神的にも金銭的にも追い詰められていきます。スティーヴに振り回されながらも、愛おしく思っています。
2人の生活は常に閉塞感と不安に満ちています。
引っ越してきたカイラとの出会いで穏やかさを取り戻しますが、再びスティーヴが問題を起こします。
ダイアンは、息子スティーヴがまっとうに進学・結婚をして幸せに生きていく将来を夢見ますが、現実は思うようにいきません。
ADHDで、時々攻撃的になる息子をコントロールできず、母親としての無力さを感じます。そして、スティーヴを強制施設に預けます。
S-14法案によって断ち切られた暮らしと、それでも切れない絆が強く描かれています。
ADHDで自らをコントロールできないスティーヴ
ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)のスティーヴは、放火や暴力などの事件を起こす問題児です。しかし、普段は純粋で優しい一面もあり、母親のことを愛しています。理性的な一面を持っています。
スイッチが入ると自分の衝動をコントロールできずに、相手を攻撃してしまいます。
常に情緒が不安定で、自分自身でも感情が抑制できない苛立ちや、孤独を抱えています。
カイラと出会い、穏やかな生活を取り戻しますが、やはり長くは続きません。ADHDという障害を抱えて、スティーヴ自身も自らの衝動に苦しんでいます。
その攻撃性は、他人だけでなく自分自身にも向かい、自殺未遂を起こします。
「自分を思うようにコントロールできない」「社会や周りと問題を起こしてしまう」ADHDなら誰もが感じるもどかしさが伝わってきます。
家族を選んだカイラ。希望を捨てないダイアン、スティーヴ
スティーヴは矯正施設に入所になり、母親のダイアンも従います。
やがてカイラは2人の元から離れていきます。夫の仕事の都合で引っ越すことになったのです。
「私には、家族は捨てられない」と話すカイラに対して、ダイアンは「私は家族を捨てたわけじゃない。希望を捨ててないだけ。」と言います。
ダイアンがスティーヴを矯正施設に入れたのは、息子を見捨てたのではなく、将来を考えてのことでした。
施設に入れなければ、自殺未遂を起こしたスティーヴを守れない…。
施設で治療を受けたら障害が良くなるかもしれない、新しい薬が開発されたらADHDが改善されるかもしれない…。
専門家に任せた方がうまくいくかもしれない…。
ダイアンは息子スティーヴを見捨てたのではなく、希望を残したのです。
ADHDの私の感想
ADHDのスティーヴの言動は、自分自身と重なるところもありました。どうしようもできない衝動性がリアルに描かれていて、観ていてもどかしくなったり、胸が締め付けられました。
スティーヴと母親ダイアンの関係は、障害児を持つ母親は共感するところがあるのではないでしょうか。
自分の母親のことを思い出して、ずいぶん困らせてきたなと(今もですが)泣きそうな気持になりました。
母子の深い愛情と葛藤に、胸をえぐられるような気持でした。
矯正施設の職員がダイアンに対して「愛だけでは(スティーヴを)救えない、問題は愛じゃないから」と言い放つシーンが印象的でした。
ダイアンは結局、スティーヴを矯正施設に入れるのですが、どんな形であれスティーヴの幸せを願っています。断ち切れない無償の愛を感じました。
矯正施設で自由を奪われたスティーヴが、職員を目を盗んで走り出すシーンで映画は終わります。
逃げようと走るスティーヴが目指す出口は、キラキラと輝いています。まるでスティーヴの捨てない希望を表現しているみたいでした。
Mommy/マミーを無料で観る方法(合法)
mommyは、2015年に劇場で公開されました。現在は公開が終了していますが、U-NEXT でレンタル配信されています。
U-NEXT は新規登録後、31日間は無料トライアルで利用できます。
mommyをダウンロードするには540円かかるのですが、無料トライアウト特典で600円分のポイントが貰えるので、ポイント利用で無料視聴できます。
退会は簡単にできますが、無料期間中の31日以内に退会しないと月額料金がかかるので気を付けてください。
視聴登録はこちらから
DVDもAmazonで販売されています。
ストーリーもさることながら、映像や音楽もとても美しくて、芸術的な世界観です。劇場のスクリーンで観たかったなぁ・・・。
心に残る、何度でも観たくなる作品です。ADHDで悩んでいる親子や、多くの人に観てほしいです。