ADHDのラスカルの手帳

四国在住/20代でADHD(注意欠如多動症/注意欠陥多動性障害)と診断/社会不安障害(対人恐怖症)/アルバイター

【日雇い】ADHDがホテル客室清掃アルバイトをした話②後編

前編の記事の続きのお話です。

前編の記事はこちら↓

www.rasukaruadhd.com
 

 

ひたすらトイレと浴槽を洗っていく

このやり方で良いのか?疑問を抱きながら、とにかくひたすらユニットバスを1部屋ずつと洗ってきます。

  1. カーテンが塗れないように上に上げる
  2. 緑のボトル(洗剤)を便器に撒く
  3. 青いブラシで便器を擦る
  4. トイレのノズルを出して磨く
  5. トイレの水を流す
  6. 緑のボトル(洗剤)を便器のフタ、浴槽、流し、床、壁…とにかく全体に撒く
  7. ユニットバスを頭の中で小さなエリアで区切り、①~⑨の順に黄色のスポンジで磨いていく(下の画像を参照)
  8. ①~⑨の順に洗い流す

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これを1部屋ごとに、ひたすら繰り返していきます。

 

ユニットバスを①~⑨の小さなエリアに区切るのは、前回の記事でも書いたように、ADHDの私が作業しやすいように勝手に編み出したルールです。

パートの女性が見れば「何であんなに効率悪いやり方してるんだろう?」と思われるでしょう。しかし、このフロアには私1人しかいません。

人の目を気にしなくて良いのは快適でした。しかし、こんな掃除の仕方で合ってるのか?あとで怒られないかな?とドキドキしていました。

Bさんから渡された掃除用品一式の入ったカゴには、色々な種類の洗剤や、色々な大きさのブラシやスポンジが入っています。

しかし、私が使っているのは ①緑のボトルの洗剤 ②青いブラシ ③黄色のスポンジ の3つだけ。

本当にこのやり方で良いのか…不安なまま掃除に没頭しました。

 

暑さで身体的、精神的にキツくなってくる

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角部屋に到着し、ようやく折り返し地点に着ました。これまで9部屋倒しました。腕時計を見ると、勤務開始から1時間が経とうとしていました。

(まだあと4時間以上あるのか…)と、憂鬱な気持ちになります。

同じ動きを続けていると、身体もだるくなってきます。服はシャワーで濡れてしまいました。首に巻いた冷感タオルで、汗を拭いながら必死に掃除をします。

暑さはやっぱり堪えます。

(夏だから仕方ないかぁ…)と思いながら、シャワーで泡を洗い流しているときに、ふとあることに気付きました。

シャワーからお湯を出して洗っている!

今まで掃除したユニットバスも、ずっとお湯で洗い流していました…。

水で洗えばこんなに暑い思いをしなくて良かったのに…。

それ以降、全部水で洗い流しました。

同じ作業をしているとそろそろ飽きてきますが、シングルタスクに没頭して過集中してこそADHDの本領発揮です。余計な雑念を必死に振り払って、とにかく一心不乱に掃除をしていきました。

1時間半で18部屋のユニットバスを磨きました。それが早いのか遅いのかも分かりません。

一通り終わって、何をしていいか分からなくなったので、違うフロアに居るスタッフに何をして良いか聞きにいきます。Bさんがどこにいるのか分からないので、とりあえず見かけたパートさんに声をかけます。

私「すみませーん、あの…」

パート「はい?」

私「トイレの掃除が終わったんですけど、何したらいいですか」

パート「・・・???」

私「・・・???」

パート「ああ、下の階のお風呂の掃除してた子ね」

私「あ、はい。お風呂の掃除が終わりました」

パート「〇階に△△さんがいるから、何したらいいか聞いてきて」

短期記憶の弱い私は、「〇階の△△さん」というワードを忘れないように、何度も小声で復唱しながら〇階へ向かいます。

そして△△さんの名前を呼ぶと、Bさんが返事をしました。Bさんの名前をここでようやく知りました。

 

すっかり忘れていた「水滴の拭き取り」作業

 私「お風呂の掃除終わりました」

Bさん「えっ?拭き取るのもやった?」

 私「あっ…まだやってないです!やってきます。」

すっかり忘れていました。

【全ての部屋を洗ったあとに、最初の部屋に戻ってバスタオルで水滴をしっかり拭き取る】

という作業が残っていたのです。すぐに戻って拭き取りを始めました。

最初に清掃したユニットバスから順番に拭き取っていくのですが、ここでまた困ったことが…。(あれ?どこの部屋から掃除していったっけ?)と分からなくなってしまいました。

方向音痴で短期記憶の弱い私は、さっきまで自分がいた場所ですら忘れてしまいます。多分この部屋かな…とうろ覚えで拭き取りをしていきました。

 

ひたすらユニットバスの水滴を拭き取る

拭き取る時に使うタオルは、浴室に備え付けてある使用済みバスタオルです。バスタオル1枚で、トイレ・浴室の水分を全体を拭き取っていきます。

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この時も拭き残しが無いように、ユニットバスを頭の中で小さなエリアに区切って拭き取ります。これが思ったより大変です。

バスタオルが濡れていて思っていたように拭き取れなかったり、バスタオルの大きさが扱いづらかったり…。

この時に気付いたのですが、バスタオルが濡れているのは、私が洗い流すときにシャワーで濡らしてしまっていたからです。

あとで拭き取ることをすっかり忘れていました。

同じ作業を繰り返していると、段々と腕や腰が疲れてきます。

(乾いたバスタオルなら、もっと楽に拭き取れたのに…) 

(どうせ乾くんだから拭き取る必要ある?)

(浴室に乾燥機設置した方が人件費が浮くのでは?)

(私がやってる仕事に意味はあるのか…)

そんなことが頭をよぎり、やる気を失いそうになりました。ですが、今まで日雇いで何度も「単純作業を繰り返す」ことを経験してきた私。

その経験を生かして「仕事の意味とか考えず、ロボットのようにただ作業に没頭する」ようにしました。そして、1時間をかけて18部屋を拭き取りました。

 

仕事より辛い休憩時間

Bさんに拭き取り作業が終わったことを告げると「ちょうどいい時間だから休憩しよう」と言われました。

事務所に戻り、15分間休憩しました。他のパート清掃スタッフの女性4~5人も休憩中でした。清掃スタッフの年齢は30代~50代で、全員女性です。

こういう状況になるといつも、身の上話の質問が飛んできます。

パート「学生さん?」

私「フリーターです」

パート「何歳?」

私「26です」

パート「もっと若いのかと思った~」

 私は社会人経験が未熟で、立ち振る舞いも幼いので、よく学生と間違われてます。

パート「結婚してるの?」

私「してないです」

パート「普段何の仕事してるの?」

私「特に何も…あ、求職中です…。」

そして気まずい雰囲気が流れます。

日雇いのアルバイトをする女性は「①主婦 ②学生 ③普段は他の仕事をしていて副業で来ている人」という3パターンが多いです。

<独身で、学生でもなく、いい歳して定職にも就かず、日雇いしてるフリーター>という自分の身分を改めて思い知らされました。

そしてBさんを含めたパートさん達から、次々と質問が飛んできます。

「若いから清掃の仕事とか嫌でしょ?」

「仕事決まってないならここのパートに来たら?」

「そうそう。子供いないでしょ?人手不足だから土日来てくれる人いると助かるわ」

「何で日雇いやってるの?時給良いの?」

「彼氏いるの?結婚の予定は?好きなタイプは?」

「結婚したら専業主婦?」

自分に関する話題を避けるため、こちらから話題を振れば良いのですが、うまく言葉が出てきません。会話のキャッチボールが苦手な私。

ひたすら飛んでくるボールを拾い続けます。

仕事してる方が楽だ…早く休憩時間終わってくれ…

そんな気持ちでした。

 

業務用掃除機との戦い

そして休憩時間が終わりました。次に私に与えられた仕事は「通路と客室のカーペットの掃除機かけ」です。

Bさん「掃除機かけたことある?」

私「はい」

Bさん「このフロアの客室と通路を掃除機かけてね。鍵のかかってる部屋は開けなくて良いから。あと、お客さんの荷物があったら動かさずにそのままにしてね。」

(掃除機かけ…さっきより楽そうだな…)と思ったのですが、渡された掃除機を見た瞬間、嫌な思い出が蘇りました。

 

使うのは業務用掃除機だったのです。

かつて結婚式場のアルバイトで、この掃除機を使うのに手こずり、電気コードを音響機器に引っ掛けて倒して怒られたことを思い出しました。

この掃除機の嫌いなところは「重い・小回りが利かない・電気コードが長くて煩わしい」ところです。

業務用掃除機の電気コードにイラつく

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電気コードは10mくらいの長さです。これが本体に巻き付けてあるのですが、全部ほどいたら絡まってしまうような気がして、慎重に掃除機を動かしました。

しかし、次第にコードは絡まっていきます。掃除機本体をカーペットの上で滑らせようとしても、電気コードに引っかかってしまいます。

仕方がないので、掃除機本体を片手で持ち上げて掃除をしました。家庭用掃除機に比べてかなりの重さなので、腕も疲れてきます。

掃除機本体を持ち上げて移動しながら掃除をしていると、中腰で腰も痛くなってきます。小回りの利かない掃除機で、狭い客室を掃除していくのも手こずりました。

(さっきのユニットバス洗う仕事の方が100倍楽だったなぁ)と思いながら、必死に掃除機をかけていきます。

私が変なやり方をしているので、見かねたBさんが助けてくれました。

Bさん「電気コードを本体に巻き付けたままだと絡まるから。全部伸ばした方が引っかからないよ。

わざわざ掃除機持ち上げたらしんどいでしょ?こういう向きで動かしたら移動しやすいから…」

絡まった電気コードをほどいてくれて、動かしやすいようにアドバイスをくれました。さっきよりは掃除機がかけやすくなりましたが、それでもうまく扱えなくてしんどい…。

1時間以上をかけて、1つのフロアの掃除機がけが何とか終わりました。

 

必死に掃除機がけを続ける

私「掃除機がけ終わりました。」

Bさん「お疲れさま。今日何時まで?」

私「14時半までです。あと1時間くらいあります。」

Bさん「じゃあ上の階も同じように掃除機かけてもらえる?」

私「はい」

Bさん「もう掃除機かけるの嫌?」

私「嫌じゃないです(嘘)」

ということで、違うフロアの掃除機がけをすることにしました。身体的にきつかったですが(あと1時間だけだ!この仕事は今日だけだ!)と思うと頑張れました。

必死に掃除機をかけていると、あるパートさんから声をかけられました。

パート「もしかして、掃除機かけるとき客室の冷蔵庫のドア閉めてる?」

私「あ、はい」(嫌な予感…)

 

 客室には小さな冷蔵庫が置いてあります。

どの客室もこの冷蔵庫のドアが開いていて、 掃除機をかける時に邪魔だったので、閉めてたんです。

パート「電源落としてるから、冷蔵庫のドアを閉めると水滴が出来るから、開けて乾かしてるんだよ~閉めたらダメだよ!」

私「すみませんでした!」 

 あとちょっとで退勤…という時にやらかしたので落ち込みました。その後も掃除機をかけ続け、定時の14時半になったところで「帰ってもいいよ」と言われました。

色々な方から「来てくれてありがとう、助かったよ!」と声をかけて頂いて、疲れが少し吹きとびました。

日給は交通費を引くと3900円

時給850円×5時間=4250円でした。翌月に銀行に振り込まれます。

交通費が350円かかったので、実質の稼ぎは3900円です。たった5時間の勤務でしたが、慣れない作業だったのでとても疲れました。

そういえば…せっかく用意したこのスリッパは使いませんでした。

 

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帰ってすぐに捨てました。