ADHDのラスカルの手帳

四国在住/20代でADHD(注意欠如多動症/注意欠陥多動性障害)と診断/社会不安障害(対人恐怖症)/アルバイター

ADHDの私が障害者手帳で得た2つのメリット

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 ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)と診断されて2年が経とうとしている池田ラスカル(@rasukarurun) です。

 私は、診断後にすぐに精神障害者保健福祉手帳(以下、障害者手帳)を申請しました。ADHDは生まれつきの脳機能障害ですが、私が診断されたのは社会人になってからです。それまで“健常者”として生きてきた私が、なぜ障害者手帳を取得しようと思ったか、手帳を取得して2年間で得られた“金銭的メリット”と“精神的メリット”について書いていきます。

※申請には精神障害にかかる初診日から 6か月 を経過している必要があります。私は、ADHD診断前からうつ病や社会不安障害で通院をしていたので、すぐに申請できました。

〈目次〉

精神障害者保健福祉を申請しようと思った理由

  ADHDだと診断された当時の私は、看護師として就職したものの業務について行けず、3か月で休職しました。元の職場に戻る勇気もない、一人暮らしで生活していくお金もない。(この先、どうやって生きていけば良いのだろう)と、先が真っ暗の状態でした。

 自分がこの社会で生きていくには、福祉の力を借りるしかないのではないか。そんな気持ちで、障害者保健福祉手帳を申請しました。手帳を取得することで、減税の措置当時は障害者雇用での就職も検討していました。結局、一般就労のアルバイトに就き、障害者であることは会社に隠して生活しています。

1,金銭的メリット

住民税(県市民税)が非課税になった

地方税法では下記のように定められています。

障害者、未成年者、寡婦又は寡夫であって前年中の合計所得金額が125万円以下の者については、住民税を課さない。

引用: 障害者に関する税制上の特別措置一覧 - 内閣府

 合計所得金額とは、社会保険料等を差し引いた額です。年収に換算すると200万程度です。私は一人暮らしで、アルバイトで生計を立てています。昨年度の年収は142万6,427円。所得は77万6,427円。障害者手帳を取得していることで、非課税になりました。苦しい生活をしているので、とても助かりました。

 また、確定申告で障害者控除を受けることで、所得税も安くなります。詳しくは→(過去記事:精神障害者が会社にバレずに障害者控除を受けるには?【クローズ就労と障害者控除】

NHK受信料免除

 放送視聴可能なテレビやワンセグを所有していれば、NHKの受信料を支払わなければなりません。しかし、下記の条件に当てはまれば、NHK放送受信料の全額免除が出来ます。

・精神障害者保健福祉手帳をお持ちの方がいる世帯

・世帯構成員全員が市町村民税(特別区民税含む)非課税の場合

 参考:受信料免除基準に関するパンフレット(個人免除) .pdf

 私は市町村民税(住民税)が非課税なので、手帳が交付されてすぐに免除の申請をしました。それまでは衛星契約+地上契約で6か月ごとに12,730円支払っていたのですが、全額免除になりました。

 前払いで支払いをしていた受信料は、月割りで払い戻しがされました。詳しくは過去記事で書いています。(関連記事:障害者手帳3級が交付された話②-NHK受信料免除と、障害者雇用 

 「テレビを持っていないので契約していない」「インターネットしかしない」という人も多い時代。しかし、今後はスマートフォンやパソコンでインターネットに接続しているだけで、受信料の対象となる可能性があります。

NHKがネット受信料検討 答申案、TVなし世帯も対象 :日本経済新聞

 取り立ても厳しくなっているので、きちんと契約して免除の手続をした方が楽だと思います。NHKといえば、今年から発達障害プロジェクトを始動させるなど、発達障害を番組で取り上げてくれています。(関連記事:NHKが伝えてくれた“発達障害者”が生きる世界

公共施設や運賃の割引

 精神障害者保健福祉手帳があれば、美術館・博物館などの公共施設入場料・娯楽施設の利用料・神社仏閣の参拝料・バスの運賃が割引又は無料になります。特に美術館・博物館・神社仏閣は、ほとんどが無料。当事者だけでなく、付添人1人まで割引が受けられるところが多いです。

 障害者手帳で行こう!~全国版~ という情報サイトがとても便利です。

shogaisha-techo.fanweb.jp

 都道府県ごとに、手帳が使える施設や割引情報が丁寧に載っています。自分の住んでいる県のページを見ても(身近にこんなに使えるところがあったんだ!)とびっくりしました。

 私は、休日は自宅に閉じこもりがちです。お金もないし、仕事で疲れて出かけるのが億劫で、一日家で過ごすことが多いです。障害者手帳のおかげで、休日に近くの美術館に行ってみたり、Jリーグの試合を観に行くようになりました。(Jリーグのゲームは当日券が半額で買えます。)

 外に出ることは、社会や人と関わるきっかけにもなるし、人生を前向きに生きることにも繋がります。秋になって涼しくなったら、関西か北陸に旅行行きたいなと計画しています。

 

2,精神的メリット

私は就労サービスや税の軽減のために障害者手帳を申請しました。しかし、実際に手にしてみて得た一番大きいメリットは、精神的なメリットです。

 

“できない”自分を許せるようになった

 私は、2年前までADHDという発達障害があると気付かず、社会不安障害を抱えながらも、健常者として生きてきました。子供の頃から不器用で“周りと同じように出来ない”という劣等感を感じてきました。学校にも社会にうまく馴染めず、留年・休学・休職を経験しました。そのたびに「何で自分はできないんだろう」「自分の努力が足りないからだ、甘えてるからだ」と思っていました。社会生活に苦しんで、さらに自分を責めて苦しんでいました。

 障害者手帳を手にしてからは「自分は障害者なんだ」と思えるようになりました。“できないこと”も“障害”として受け止めるようになりました。そしてやっと自分を責めることから解放されました。

 “障害者”という枠の中に自分を置くことで、自分と周りの人を比べたり、健常者と同じレールで生きていかないといけないという気持ちもなくなりました。

 

デメリットは全くなかった

 障害者手帳を取得することで、社会で生きづらくなったらどうしようかと不安でした。しかし、実際はデメリットはほとんど感じていません。一般雇用で働いていますが、アルバイト先にバレることもありませんでした。

 ハローワークで障害者として就労相談や求人登録をしても、障害者雇用の仕事だけでなく、一般雇用の求人にも応募することが出来ました。障害者手帳を所有していることは申告しなくても良いし、不要だと感じればいつでも返還ができます。

 

 

障害を言い訳にして逃げているのか

 “障害があるからできなくても仕方ない”と考えることで、私は楽になりました。しかし、人によっては「障害を言い訳にしている」と思われるかもしれません。自分でも時々、考えることがあります。

 “障害があるからできない”ことと、“努力して乗り越えられること”の線引きはとても難しい…。最近、それを実感した出来事があります。私は新卒で就いた看護師の仕事を3か月で離職しました。それからは一般雇用のアルバイトで工場や倉庫で働いてきました。ADHD治療薬のコンサータをストラテラを内服し、ADHDや不安障害に関する書籍を沢山読んで、障害に対処してきました。

 そこで「もう一度看護師の仕事にチャレンジしよう」と一度は決意しました。看護のお仕事派遣 マイナビスタッフ などの求人サイトにも登録して、求人を探していました。しかし、いざ応募となって「本当に自分に出来るのか?」「今のアルバイトや生活も精いっぱいで満足にできないのに、患者さんの命を守れるのか?」と何度も何度も考えました。

 そして「看護師に戻るのは辞めよう」と結論を出しました。少なくとも、今の自分では「頑張っても無理」だと思いました。やってみないと分からないこともあると思いますが、後ろ向きな気持ちのままでは頑張ることもできません。

 

障害者として生きていくということ

 障害のない健常者だって、楽に生きていける時代ではありません。みんな生きづらさを抱えています。だからこそ、全てを“できない”と切り捨てる訳じゃなくて、“今までの自分よりも、うまく出来るように頑張ろう”と思うようにしています。

 無理をし過ぎてキャパオーバーになったり、やってみてダメで心に傷がついたり、奮起してもすぐに心が折れたりする毎日です。どこまで頑張ればいいのか、社会とどう向き合えばいいのか… この先もずっと考え続けると思います。

 今の私は“障害者”ということにアイデンティティを感じていて、だからこそ障害者手帳を持つことで安心感を得られているのだと思います。この先どうやって生きていくのが正しいのかは分かりません。

 だけど、障害者手帳を取得したことで、前よりも自分を受け入れられるようになり、前を向いて生きていけるようになりました。この社会で今の自分が生きるために、障害者手帳は無くてはならない心の支えです。