ADHDのラスカルの手帳

20代でADHD(注意欠如多動症/注意欠陥多動性障害)と診断/社会不安障害(対人恐怖症)/コンサータ・ストラテラ/うつ/社会不安/アルバイター/ クラウドワーカー/生きるための記録

私のADHD、そして不安障害との逃げられない戦い

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 ADHD(注意欠陥多動性障害/注意欠如多動症)の池田ラスカルです。私は幼少期から、ADHDだけではなく“社会不安障害(対人恐怖症)”に悩まされてきました。フリーターとしてアルバイトをしながら、一人暮らしをしている私。社会と接している間、頭の中に常に不安と恐怖があります。

 「怒られるんじゃないか」「自分が人から変に思われている」「バカにされている」―そんな不安に襲われ、逃げ出したくなるような恐怖と戦ってきました。身の縮むような気持ちで何とか踏みとどまったり、逃げるように学校を休んだり、アルバイトを辞めたり…。自分で自分の首を絞めるようにして生きてきました。

 そんな不安との闘いや、ADHDとの関連について書いていきます。

仕事中のパニック発作

 私の仕事は倉庫軽作業です。物流関係の倉庫で、荷物のピッキング(仕分け)や検品作業をしています。ADHDで注意欠陥のある私にとっては、単純な作業の繰り返しでも、かなり神経をつかっています。「気を付けなければ」と思えば思うほど、身体も心も緊張します。ひとつひとつの作業にミスがないか確認し、なおかつ作業が遅れないようにと必死です。

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 -14℃以下の冷凍倉庫での作業、10kgを超える荷物の仕分け…身体的にも苦しい仕事ですが、それ以上に精神的な負担が大きいです。最も大きいのが、対人不安です。倉庫や工場での仕事は人と関わる機会は少ないですが、閉鎖的な人間関係特有の難しさがあります。

 ミスをして怒られるのではないか、邪魔だと思われるのではないか、自分の立ち振る舞いが間違っているのではないか…。そんな考えで頭がいっぱいになり、作業に集中ができなくなります。

 ある日のこと、いつものように荷物の仕分け作業をしていると、荷物が破損していることに気付きました。すぐに報告しなくてはと思いましたが、忙しそうにしている上司になかなか話しかけられず、やっとの思いで声をかけました。

声をかけたものの不安でいっぱいになり、頭の中は真っ白で、自分でも何を話しているのか分かりませんでした。上司からは怒られることも無かったのですが、自分の言動が呆れられているように感じました。

作業に戻ったものの、その後も上司とのやりとりを思い出して恥ずかしい気持ちでいっぱいになりました。やがて、逃げだしたいような恐怖に襲われました。かといって走って逃げだすこともできず、身体は緊張でうまく動かなくなり、不安で押しつぶされるようにしてその場にしゃがみ込んでしまいました。

息も苦しくなり、涙が止まらなくなります。周りの人に気付かれる前に、何とか平静を保って作業に戻ろうと思ったのですが、うまく感情がコントロール出来ませんでした。

 周りに介抱されて仕事場を後にしました。自宅に帰ってからも、「自分が情けない」という無力感でいっぱいになりました。そして頓服の抗不安薬を飲んで、ぐったりしたように眠りについたのです。

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ADHDは不安になりやすい 

 大人になってからADHDだと診断された私が、初めて手に取った本が 大人のADHD もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)です。この本は、大人のADHDに関するデーターや情報量が豊富にあり、読み応えがあります。第4章では、ADHDと他の精神疾患との併存について書かれています。

 米国における調査では、ADHDには気分障害(うつ病、躁うつ病など)が38.3%、不安障害(パニック障害、社交不安障害など)が47.1%、物質使用障害(薬物依存、アルコール依存など)が15・2%合併することが報告されている。

 これは、かなりの高率である。実際の臨床現場においては、うつ病や対人恐怖などの症状を主な訴えとして受診した人が、育成歴を検討してみることによって、ADHDであることが明らかになるケースは多い。

引用元: 大人のADHD もっとも身近な発達障害 (ちくま新書)、p88-89

 私の場合、書かれていることがそっくり当てはまっていて、驚きました。対人恐怖や抑うつの症状が目立ったことで心療科に通院していましたが、社会人になるまでADHDの発覚は見逃されてきました。

  ADHDは障害そのものだけでなく、感情のコントロールが出来ず、不安をきたしやすいところにも問題があります。薬物依存やアルコール依存を併用する人が多いのも、欲求を我慢できないだけではないでしょう。強い不安を打ち消すために手を出してしまう人が多いのではないでしょうか。

 

 

強い不安・緊張はミスを増やす

 社会人として働くようになり、ADHDの不注意症状による仕事のミスに悩まされるようになりました。うまくいく日もあれば、いつもの倍以上に不注意を連発する日もあります。

 自我観察のために日記を書くようになってから「どうしてミスをしてしまったんだろう」と冷静に振り返られるようになりました。そこで気付いたのが「強い不安や緊張を抱えているとミスをしやすい」ということでした。

 対人恐怖や社会不安を感じている時は、「周りを気にしすぎている」「相手のことを考えている」ようにも見えますが、実は全くの逆です。「自分がどう見られているのか」ということに意識が集中しているため、相手のこと・周りのことが見えていません。このことは、最近読んだ【不安症を治す―対人不安・パフォーマンス恐怖にもう苦しまない (幻冬舎新書)】という本でも書かれていました。

 自分のことに目がいきすぎる

 思い込みを持っている人は、「自分がきちんと行動できているか」ということだけが気になって、周囲に目が向かなくなっていきます。周りのことが全く見ないわけではないのですが、エネルギーの大半が「自分」に向かっているのです。周りの人のことを気にしているのに、実際には自分のことだけを考えるようになるわけですから、ある種矛盾した状態ともいえます。

引用:不安症を治す―対人不安・パフォーマンス恐怖にもう苦しまない (幻冬舎新書)p77

 「周りが見えていない」という状態は、様々なミスや事故を引き起こします。ADHDは障害の特性上、ただでさえ周りのことを見落としてしまいます。視野が狭く、外からの情報をシャットダウンして自分の世界に入り込んでしまったり、過集中で一極集中に陥ることがあります。

 強い不安や緊張を抱えているときは、ただでさえ周りのことが見えなくなったり、やるべきことに集中できなくなります。その結果、仕事でのミスが増えていたのです。

 私の仕事は倉庫のピッキングです。同じ作業の繰り返しなのですが、一度ミスするといつまでも気になって仕方なくなり、次の作業に集中できなくなります。上司は許してくれたけど怒ってるんじゃないかと思いこんだり、情けなさから自分を責めて自信がなくなったり、ミスをしたシーンを頭の中で何度も再生してしまいます。“心ここにあらず”のまま次の作業をしているため、またミスをしてしまいます。

 それに気づいてからは、ミスをしても仕事中は出来るだけ気にしないようにしました。勿論、全く気にしないことは不可能なのです。必死で頭の中に浮かんでくる不安をふり切って、とにかく次の作業のことだけを考えるようにしています。

 以前、ADHD治療薬としてコンサータ錠36mgを飲んでいたことがあります。私は薬の影響を受けやすい体質らしく、薬の副作用で極度の緊張を感じたり、落ち着きがなくなったり、手の震えが起こることがありました。その結果、仕事にさえ行けなくなるようになり、本末転倒でした。36mgから26mgに減量してからは、副作用も減り、以前より落ち着いて仕事ができています。

 

不安を完全に消すことはできない―抗不安薬を飲むと不注意が悪化

 「強い不安を感じると不注意が悪化してミスが増える」という話をしましたが、それとは逆に「不安を完全に消そうとしてもミスが増える」というジレンマに悩んでいます。 

 私は不安時の頓服として、抗不安薬が処方されています。飲んで15分程すると、不安や緊張が静まり、情緒が安定します。以前はすぐにこの抗不安薬に頼り、仕事の前に必ず飲んでいました。リラックスできるので気負い過ぎる気持ちもなくなり、仕事がはかどることもありました。

 しかし、この抗不安薬を飲んだ状態で仕事をすると、いつもよりミスが増えることがありました。また、ADHD治療薬として飲んでいるコンサータの効き目も消えてしまうように感じました。抗不安薬の効き方は人それぞれですが、私の場合は寝不足の時に飲むと眠気が酷くなります。また、頭がぼーっとしていつもでは考えられないうっかりミスをしてしまうことがあります。そのため、出来るだけ抗不安薬を飲まずに我慢をして、強い不安からパニックを起こしそうになった時だけ飲むようにしました。

 不安障害に関する様々な本に書いてあるのが「適度な不安や緊張は、人にとって必要である」ということです。不安があるから、気を付けようと思えるし、準備をして失敗しないように対策することができるのです。

 「適度な不安や緊張」は、むしろ仕事や勉強の成果を上げてくれます。増やし過ぎてもダメだし、減らし過ぎてもうまくいかない…とても難しいです。

 

不安を減らすために試行錯誤!

 抗不安薬に頼り過ぎず、不安・緊張を抑えるのは大変です。色々と試行錯誤をしています。不安障害に関する本を読んで、物事に対する認知を少しづつ変えるようにしています。また、不安やストレスを感じた時にゆっくり深呼吸をして自律神経をコントロールしたり、リラックスのために簡単なヨガ(ストレッチ)をするようになりました。

 お世話になってる本が<自律神経どこでもリセット! ずぼらヨガ>です。三日坊主どころか1日で飽きてしまう私ですが、この本のおかげで続いています。イラストが豊富で分かりやすく、身体の堅い私でも気軽にできます。

 

特に「のどのストレッチ」は、仕事で強い対人恐怖やストレスを感じた時に、休憩室やトイレでこっそりとやっています。著者の嶋田ミナさんが連載しているWebサイトにも載っているので、紹介します。

ストレスで息苦しい…「のど伸ばし」で緊張とコリをほぐすべし! - いまトピ

 体の緊張が取れて、心も軽くなります。身体と心は深くつながっていて、切っても切り離せないんだなと実感します。

 ずぼらヨガは、寝起きでやる気がないとき・仕事で頭が付かれた時・夜寝るときなど、様々なシーンを想定して簡単なヨガを紹介しています。ヨガマットなんてなくても、ベットの上、椅子に座って、立ったまま…様々なところで出来るヨガ(ストレッチ)ばかりなので、とてもお勧めです。